|
長田百合子さんは、1954(昭和29)年岐阜県生れの
エデュケーションライター。愛知県の各所に補習塾を置く「塾教育学院」を経営する一方、
メンタルケア部門代表として、いじめや不登校、非行、引きこもりなどで悩む子どもの
家庭に自ら出向き、29年間で2000人を超える子供の問題を解決しています。
また、教育に関するテレビ番組出演や、幅広い講師・講演活動も行っています。
長田百合子さんの通称は「名古屋の熱血おばちゃん」
「愛知の教育を考える懇談会」委員も務め、親を対象とした「長田塾」や
子供を預かる「長田寮」を開き、親の意識改革と子供の訓練に当たってます。
私が今まで手がけて来た子どもの問題は、親が問題を持っているから子どもが問題を持ったのであって、子どもから先に問題を持ったケースなど一つだってありませんでした。教育とは「薫陶」に他なりません。「思いやりがない」と子どもを叱る親は、自らに思いやりがなかったからだと反省すべきです。子どもが間違っていると手を上げるなら、間違った子どもに育ててしまった親自らの心に手を上げるべきです。子育てなど実に簡単なことで、教え育てる親そっくりに子どもは育つだけのことなのです。 さて、子どもの問題に悩む親に共通することは山ほどありますが、ひときわ耳にする「言葉」を紹介しましょう。幼い子どもなど手がかかって仕方ないというのに、ほとんどの母親が「小さいとき手のかからない良い子だった」と言うのです。私はこれを「親にとってとても(都合の)良い子だった」と言っているのだろうと、メンタルケアの経験から解釈しています。子どもは本来親のそばから離れて、あらゆることを自力で経験しなくてはなりません。親から離れるという事は、当たり前のように危険がいっぱい待ち受けています。いじわるな人や怖い人もいるでしょうが、そうした人たちと接して初めて打たれ強い精神がそなわって行きます。転んで血を流すこともあるでしょうが、そうなって初めて自分の身を守る方法を覚えて行くのです。ところが、問題を持っている子どもの母親は、我が子を一人歩きさせる勇気と知恵を持ちません。子どもが「一人で歩きたい」などと言ったら大変です。「変なことが起きたらどうするの!」と心配しまくって、せっかくのやる気を子どもから奪いとってしまいます。こういう人を「心配性の母親」といえばずいぶん聞こえはいいのでしょうが、本質的には「疑い深くて業の深い女」にすぎません。完全に愛情を取り違えた母親は、まるで我が子をペットのように四六時中そばに置いて目を離しません。ちょっとでも変な顔をしようものなら、どうした、何したと根掘り葉掘り問い質して大騒ぎです。我が子を叱る大人がいようものなら激怒して、それが誰であろうが即座に撃退して遠ざけてしまいます。周囲に合わせて人と協調するよう我が子に教えるのではなく、我が子に合わせて協調してほしいと相手構わず要求する始末です。このように母親の過干渉と過保護が続けば、子どもは自ら考えたり行動を起こしたりしなくても全て事足りてしまいます。行き着くところ、生きる力も知恵もない、体のいい「母親の奴隷状態」に成り下がってしまうのです。「お母さん」から始まって、テレビを見てもいいか、友だちと遊んでもいいかと、いちいち母親から許可をとらないと不安で仕方がありません。そんな子どもも親から離れて学校という集団に入りますが、大変ひ弱なので友だちからイジワルされたり、先生からちょっと叱られたくらいで大きく傷ついてしまいます。年齢に応じた経験が極めて乏しく精神的に幼いことから、相手に対してやっていい事と悪い事の見境がつかなかったりします。人と協調できないためにすっかり孤立して、子どもは苦しさのあまり後先を全く考えず親の元へあっさりと逃げ込んでしまいます。不登校などの問題を抱える親子には、こういった共通点が存在するのですから、問題を持つおよその子どもは医者や学者が言うような病気ではありません。苦しむ親子との接し方を弁えていたら、向精神薬を投与する必要も全くないのです。ところが、子どもの凶悪な事件が起こる度、マスコミは「教育現場もろくに知らない」学者、医者、弁護士、評論家たちをコメンテーターに起用して、無責任な空論を全国に向けてどんどん報道しています。その結果、哲学的で感性の豊かなところに存在すべき教育は、「医学」と「法律」に土足で踏み込まれ、教師と親はいっぺんに自身と力を失うことになりました。以前「戦後五十年」と誇らしげだった日本人のたくましき「生きる知恵」はすっかり消滅し、あるのは欧米の真似をしすぎて落ちるところまで落ちた哀れな日本人の姿です。それを絶好のチャンスと見たのか、イギリスの製薬会社は「うつ病を促す」ような宣伝を、テレビや新聞で大々的に流し始めました。その一方で子ども問題の現場では、厚生省の無知をあざけ笑うかのように、兄弟の間では問題が連鎖して「一軒の家という単位」でひきこもりが続々と激増中です。もう黙ってなんかいられません!今こそ古きに戻って日本人のたくましい心を再生せねば、子どもたちは駄目になってしまいます。 愛する我が子を守りたければ、親はもっと貫禄を持って、しっかりして下さい! 教育現場や社会の環境がどうあれ、親が確かな子育てをしていれば、良い子は必ず育ちます。 「自分の幸せをつくるのも自分の身を守るのも、自分自身です」 「苦しみを一つ一つ乗り越えて初めて大人に近づいて行けます」 「人は人との関わり合いの中で成長して行けます」 「家の中にないものが、学校や社会には山のようにあります」 「親となった全ての動物は、我が子を何としてでも自立させる責任があります」 親亡きあと、我が子が社会でたくましく生きられる方法は、親から自立してたくましく生きていらっしゃる、あなた自身が一番良く知っているはずなのです。 (2003.10.3) |
売れ筋商品
このページの情報は 2006年7月27日15時3分 時点のものです。 |


